引き続き、静岡で介護師の養成に打ち込む元看護師のMさんからのお便りです。
谷田貝さま お忙しい中、お返事ありがとうございました。 タイに戻ってから、風邪気味だったとのことですが、 寒くて雨続きの日本から戻って体調を崩されたのかもしれませんね。
こちらは超大型台風が通り過ぎ、ほっと胸をなでおろしています。 谷田貝さんが静岡にいらしたときもすごい台風でしたね。 あのとき、私も講義を終えて帰ろうかと思ったときはまさに外は 「食器洗浄器」の中のようでした・・・
今回は早めに警戒して昼過ぎ には家に帰り、家中の雨戸を閉めて、台風の通り過ぎるのを待っていました。 幸い静岡市は大きな被害はありませんでしたが、日本各地で多くの方の命が 奪われたことに深い悲しみを覚えます。
ところで、谷田貝さんのおっしゃる 「現役世代の人たちにとっての、“ちょと一息”のロングステイの方が 切実な必要性があるのではないかな?と思う次第です。 (最近、年金などの社会制度不安などからの生活防衛的なイメージしか 感じさせなくなったロングステイという言葉を使うことに抵抗を覚える ようになってきました。
早く、“バーンタオする?”というように、 提唱するライフスタイルが社会に定着したら良いなあと思います。)」 この意見、すごく納得できました。確かに、年金のような安定した収入 が得られれば、ロングステイする上で不安も少ないと思うのですが、 単純に老後が不安で物価の安いタイで生活したほうが優雅に暮らせる、 と安易に考えると、タイから得られるものが半減してしまうのではないかと 危惧する部分があります。
これは、年金生活者のロングステイを否定するものではありません。 でも、私もタイの自然や文化やタイ人からたくさんのものをもらって、 パワーを得て、新たに、日本での生活を、日本人としてのアイデンティティ を再構築することができたので、20代、30代、40代、50代、まだまだ現役で 働いている人たちに「ちょっと一休み」の時間を作ってもらって(それが なかなかできないのでしょうけど)旅行や観光ではない、「生活」の体験 をしてもらうことが、とてもよいきっかけになるのではないかと思うのです。
日本を離れたことで、今まで意識していなかった自分の価値観や家族や 仕事に対する考え方、日本や日本人について考えることができ、自分の人生 やこれからの自分について問い直すことができました。日本での年齢や肩書 きなどから離れ(これは勝手に自分で意識してただけなのかもしれませんが) 、素の自分でいられる快適さと、自分の積み上げてきたものさえ通用しない もどかしさや不安の中で、多くの学びを得ました。
タイで生活するために 仕事を辞めたのですが、それによって得たもののほうがはるかに大きかったと 自信をもって言えます。ただ、多くの人は、守るべき家族がいたり、景気の 悪い中タイから戻って一から仕事を探すなんて簡単ではないことでしょう。 1週間の休みをとることさえ、大変なかたもいるかもしれません。
できる人 ができる範囲で無理をせず、自分をみつめ、自分らしく生きることについて ゆっくり考えることのできるきっかけになれば、それが積み重なって、老後 のロングステイにつなげていくことも可能だと思います。 NEWS23の筑紫さんはスローライフについて「スローとは時間のことでは なくて心のありようではないか。
スケジュールは忙しくても、心の中でゆっ たりする。それがスローではないか」とおっしゃっています。私も、日本に もどり、ゆっくりと生活をしている訳ではなにのですが、タイで生活するこ とにより、自分の中で大切にするものの順番がかわり、「ゆとりのきもち」 をもつことを大切にできるようになりました。
それは、むこうで暮らした 1年間が教えてくれたことです。谷田貝さんの「羽のはえた亀」はどんなに 忙しくても「心の中ではゆったりできる」ってことなのかな、と思ったりも しました。それを実行するには「ちょっと一息・・・」の経験、とっても 必要なんじゃないかな・・・なんて生意気にも思ったりします。
なんて、タイでの生活を振り返ると、決して楽なことばかりではなかった けど、本当にタイやタイの人たちにはいろんな意味で感謝してるので、語り だすと長くなっちゃいます。谷田貝さん、ごめんなさい。もう読むの疲れて きましたよね?でももう少しお付き合いくださいね。
谷田貝さんのおっしゃる 仮説「タイで暮らし・・・」も私は本当に身をもってそう思ったので、科学的 に立証できなくても(笑)、症例研究としては成立するのではないでしょうか? そこが、必ずタイである必要はないと思うのですが、「タイで暮らしたい」と 思う人はきっと何らかの縁のある人たちで、感覚的に理屈ぬきにタイが好きに なれる人だと思うので、タイに縁のある人たちが、そういった経験をできれば とっても素晴らしいことだと思います。
私はタイには元気になるもとがたくさ んあると思いますよ。具体的に言ったらまた長くなっちゃいますし、人それぞれ でいいと思いますが、不思議なほどタイにいくと元気になります。でも、 ずーっといるんじゃなくて、日本とタイでpai pai maa maa (パイ・パイ・マー・マー=行ったり来たり 谷田貝意訳) だからいいのかもしれませんけどね。谷田貝さんはどう思いますか?
私のタイに関する感想、掲載してくださって構いませんが、私の書いたところ、 押し付けがましかったり、知ったかぶりっぽく聞こえたりしませんか?一般読者 むけに書いたのではなく、あくまで谷田貝さん個人とのやりとりのつもりで書い たので、読んでいる方が不快に思われないか不安です。後は谷田貝さんに一任 しますので、使えそうなところだけ切り取って下さればと思います。
今日も長い文章ですいません。2週間前、谷田貝さんとお会いすることができ たらいろんなお話しを聞かせてもらえただろうにな、と未だに残念に思います。 こちらのほうこそタイのこと、人生のこと、いろいろ教えていただきたいと 思います。メルマがも楽しみにしています! それではまた! 焦ったり、慌てていらいらしている自分に「ca riip pai nai」 (チャ・リープ・パイ・ナイ?=そんなに急いでどこ行くの? 谷田貝意訳) と言い聞かせているMより 10月22日
いかがでしたか? 読み応えのあるお便りですね。