ミラノから・・・

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一昨年の夏、カンボジアの国立芸術学校の子供達を日本に連れて行った際、成田 のイミグレーションで、我々日本人は簡単に通過できたものの、子供達を含め外 国人の方々が、不当に1時間以上も待たされる状況に遭遇しました。 同じく、イタリヤから来られた方がそばに居り、同行者がやはりあの列の中にい ると云って、一緒にイミグレーションの対応に憤慨していたことがあります。 いわば、同志(?)とも云えるかたですが、久々のお便りをいただきました。 なかなか読み応えがあります。これを機会に議論が盛りあがればこのメルマガの 存在価値もあるかなと思います。 是非御一読ください。

谷田貝様

ご無沙汰しています。 ご記憶に無いかも知れませんが、数年前に成田空港の外国人用パスポートコントロー ルの出口で 一緒に1時間以上待っていたイタリア在住のMです。 (貴兄はタイの少年舞踊団を引率し日本に帰国した際の事と記憶しています。) バーンタオ通信はそれ以降ずうっと全部読ませて貰っています。 (いつもいつも丁寧な内容に感服しております。)   さて、引退後どこで暮らすかと言う問題は当然ですが若い間はまったく考えもし ませんでした、 漠然とバーンタオ通信を読み、自分の生まれた国、生活した国と異なる場所での第二 の人生を描いていました。タイ(バーンタオ通信を読んだから)、オーストラリア(一回行っ た事が有るから) 中国(過去一年で5回旅行したので)、などを空想していたに過ぎません。 今回、貴コラム「海外ロングステイを通じて熟年世代の幸せを考える...」を読み 現実に引き戻された感があります。 勿論、筆者の長谷川さんの述べられて居る内容に共感を得る部分、疑問を抱く部分が 入り混じっています。   特に後者の部分に関し、筆者の長谷川さん、貴兄、及び、バーンタオ通信の愛読 者との意見交換の可能性などが見出せれば今後、海外ロングステイを真剣に考えておられる方々のプラ スになる面が多少でも在る事と考え筆を執った次第です。 自己紹介 (バックグラウンド無しでは、尺度が得られない点、評価し難い点より、個人的には あまり好きでは無いのですが、簡単に自己紹介させて頂きます。) 1946年生まれ。 66年にイタリアに渡り、学生、商社員を経て、現在同国で零細企業 を営んでいます。 ここ10年は仕事の関係で日本、イタリアが半々ですが、正式な居住地はイタリア、ミ ラノです。   先ず、海外ロングステイ如何に係わらず(何処で、何をする場合でも)、第二の 人生(老後、熟年、その他...)に必要な物は残念ですが、やはりお金と思います。 どんな第二の人生でも踏み込む為に必要な物は勇気、勇気を裏付けるものは志(目的 意識)第二の人生を継続、成功させる物はお金です。   別の見方をして、海外ロングステイを考えた場合、何故海外に出るのでしょう か。 私の場合でも、引退後、月に100万円の収入(年金でも、配当でも、家賃収入でも何 でも)が得られるなら、住み慣れたイタリア、生まれ故郷日本のどちらかを選びます。 長谷川さんが 5、で、大切なものは勇気と述べられていますが①②③④のしがらみ を絶つ為にも必要な物はお金でしょう。 過去に、勇気と、志を意識し過ぎて無茶な行動を取ったが為に、いまだにアジア巡礼 が慰霊に回って居る訳です。 私たちが蛮勇を奮い、朽ち果てては「私たちがそれが出来る最後の世代...」が成 立しなくなってしまいます。 本題に戻ります。   要は、第一の人生から第二の人生に移る場合のマイナス要素として減収が通常発 生する訳です。  従い減ってしまった購買力を補う方法として、収入は第一の人生を営んだ地域の引退 者の水準を保ち、第二の人生をより物価の安い地域で送る事で、より良い生活レベルを得ると言う事と 思います。 これは非常に論理的、且つ、知的な行動だと思います。 又、一定以上の知性が有れ ば誰にでも移住は可能です。 勿論言葉の問題等考えられるでしょうが、二次的な問題 と思います。  言葉など所詮通じていると勘違いをしているだけで結構日本人同士が日本語で話をし ていても通じていないものです。   勿論、長谷川さんが6、で述べられている、目的意識が存在の継続理由と思いま す(目的無しでは生きている理由が有りませんし。)。 7、で述べられているタブー に関しては、全く同意できません。   現在も、第二の人生も過去と、第一の人生の延長と考えます。 過去に栄光、素 晴らしい実績が実際に有るなら、その人の現在も第二の人生も、同様に価値有る存在と思います。 ただ、その事実を不必要に吹聴し他人の嫌悪感買う好意は慎むべきと思います、即 ち、個々の人間にどれだけの徳が存在しているかに尽きると思います。 徳に満ちている人の話はたとえ内容が自慢話であっても聞いている人の心を和やかに させる物と思います。   最後に長谷川さんが述べられている通り、「優しさ、誇り、威厳に満ち、子供の 無邪気さを持ち夢を追い、学識豊かな風流人で剛毅な戦人、かつ風のようなさすらい人」これ ぞ究極の姿と私も共感いたします。 以上、忌憚無い意見を述べさせて頂きましたが、いつか皆様にお目に掛かれる事を 祈って降ります。
2004年6月29日

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